本当に永青文庫の展示で満足? 鬼畜系エロ好きは『銀座春画展』に行くべき

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永青文庫春画展、行きましたか。

現代日本のAV・エロ漫画の原点。
 
春画見ながら「デカすぎありえねぇ〜」と笑っているカップルがそこここにいる、ジョンレノンがイマジンを歌い出しそうなこの光景。マジ、ラブアンドピース。思わず「絵の前で止まっていつまでもチ○コ感想言い合ってんじゃねぇ」と言いたいのをぐっとこらえ、展示の一番最後のフロアに向かう。多くの人が集中力も会話も使い果たした最後のフロアは1枚の絵の前にとどまる時間が短いため、自分のペースで楽しめるのでオススメです。
名刺より一回り大きいサイズの豆本に執拗に施された空摺りは「変態」の一言に尽きるし、金銀雲母を用いた細川家所蔵の春画は、同人作家永遠の理想だった。金に糸目つけずに本作ってみたいよね…
 
SNS向けのイベント行ってきたアピールなら、これで「春画展行ってきた〜」と言いながら永青文庫の外環写真をアップすれば充分なわけだけど、なんとなく物足りなくないですか。というか和姦ばっかりでそろそろ飽きてきませんか。
 

衆道あり、強姦あり、獣姦ありの、銀座春画

www.shunga.gallery

 

銀座春画展の展示ボリュームは、かなり小さい。しかしその分は、解説の丁寧さ、iPadを用いたデータ展示によって補強されている。2014年にセカンドライフ上で行われた展示がベースとなっており、春画の展示とともに「様々な規制・制約がある中で春画を展示する意義」にも触れているのも興味深い切り口だ。

展示は3フロア。1階は春画の歴史をそれが規制された歴史とともにざっくり触れ、2階は北斎の『萬福和合神』を中心にして文字を含めた春画の楽しみ方を説明してくれる。3階はミュージアムショップだ。『萬福和合神』は春画の中でも珍しいストーリー仕立てで、幼馴染の色好みの女性二人の生涯を絵と文を交えて綴っていく。片方は裕福な家庭の生まれ、もう一方は貧しい生まれ。生まれは違えど色好みな性格は一緒で、その性格ゆえにそれぞれ波乱万丈な人生を歩んでいく…途中、宿を求めて転々とする間に強姦にあって呆然とする描写があったり「綺麗なものだけではない」性の描写は、ご先祖様の性癖バリエーションを実感することができる。
 
“日本で春画を展示すること”そのものが大きな目的となっていた永青文庫春画展は関係者の方の並々ならぬ配慮に支えられているのだと強く感じた。切り口も王道中の王道なのだと思う。もちろん銀座春画展の配慮が足りないのではなく、切り口の違いで、こっちはかなりサブカルエロ方面に振れているというだけで。そもそも永青文庫の展示がなければ、この銀座春画展もなかっただろう。
永青文庫春画展を皮切りに、春画を一律タブーとみなすのではなく、「春画の超絶技巧」とか、「春画から庶民の生活を覗く」とか、様々な切り口の展示が増えるとしたら、こんな素晴らしいことはないと思う。
 
なんにせよ、永青文庫のラブアンドピースで心が荒んだ皆さんは、銀座春画展に足を運んでみてはいかがでしょう。